はじめに
ITエンジニア202名に、「働き方」に関する意識調査を行いました。
コロナ禍を機に急速に普及し、今や当たり前となったリモートワークですが、最近では生産性向上やコミュニケーション活性化を理由に、出社へシフトする企業が多く見受けられます。その中で、エンジニアは自身のワークスタイルについてどのように考え、どのような環境を理想としているのでしょうか?
Q.現在の働き方について、最も当てはまるものを教えてください。
最近、多くの企業がコミュニケーションや生産性向上などを背景に出社傾向が高まっている中、約4割が「フル出社」という意外な結果になりました。しかし、全体の約6割はリモート併用と依然として、リモートワークのニーズが高いことが伺えます。企業側はエンジニアの働き方のニーズを理解し、個々の事情や志向に合わせた柔軟な選択肢を提供することが、採用や定着における重要な訴求ポイントではないでしょうか。

Q.もし、現在の職場でフルリモートが認められなくなった場合、どのような対応をとりますか?(交通費は支給される前提でお考えください)
※現在の働き方が「フルリモート」と回答した方のみに質問
フルリモートが不可となった場合、約4割が「迷わず転職・案件変更を検討する」と回答しており、本設問ではフルリモートの継続がエンジニアにとって重要な要素であることが明確に出ています。仮に今後、企業側で出社の方針がより一層強まっていくとすれば、リモートワークを望む層と経営方針との間で、いかにして納得感のあるバランスを見出していくのか、その舵取りが一層難しくなってくると予想されます。

Q.フルリモートを望む理由として、最も大きな理由を教えてください。
※現在の働き方が「フルリモート」と回答した方のみに質問
フルリモート勤務を望む最大の理由は、半数以上が「通勤時間がなく、ストレスが軽減される」という結果になりました。これは、単に移動の手間を省きたいというだけでなく、通勤によって生じる時間的・精神的な負担を軽減したいなどのニーズの表れではないでしょうか。
次いで「自宅で快適に仕事ができ、集中力が高まる」、「柔軟な時間管理が可能で、ワークライフバランスが向上する」といった理由が続くことからも、エンジニアが自身のパフォーマンスを最大限に発揮するためには、フルリモートが有効な選択肢と捉えられていることが伺えます。
これらのエンジニアの本質的なニーズを理解し、それに応える形で柔軟な働き方を提供することは、多くの企業で出社傾向が高まる昨今の採用市場において他社との差別化を図り、優秀な人材を採用するための手段となるのではないでしょうか。

Q.あなたの職場がフルリモートを「やめる」と発表した場合、どのような経緯なら納得できますか?
※現在の働き方が「フルリモート」と回答した方のみに質問
エンジニアが納得する主な理由は「会社の業績悪化」や「生産性低下の明確なデータ」など、客観的でやむを得ない事情が上位でした。「明確なメリットと十分な説明」も重視されており、企業側には丁寧な説明責任が求められます。
しかし、約2割は「どのような理由でも納得できない」とフルリモート維持を強く望んでおり、依然としてフルリモートへの強いニーズが伺えます。
このため、企業がリモートワーク制度の変更に踏み切る際は、従業員への丁寧な説明を行い、理解と納得を得る努力が不可欠と言えるでしょう。

Q.もし次に転職や案件探しを行う際、どの働き方であれば選択肢に入りますか?
転職を検討するエンジニアの約4割は「フル出社も許容範囲」と回答しており、必ずしもリモートワークが必須条件ではない層も一定数存在することがわかります。しかしながら、何らかの形でリモートワークの選択肢を希望する層は6割りを超えています。画一的な制度ではなく、多様な志向性に応える柔軟な働き方の選択肢を提示することが、採用競争において有利に働くでしょう。

まとめ
本調査では「フル出社」が約4割と意外な結果が出ましたが、依然としてリモートワークへの強いニーズも併存しているとわかりました。一見、エンジニア側も出社回帰への流れが強くなっているように思えますが、フルリモートが不可となった場合に約4割が転職や案件変更を検討する結果は、働き方の柔軟性がエンジニアにとって重要な要素であることを表しています。
通勤時間の負担軽減といったエンジニアの具体的なニーズを踏まえ、企業側が多様な志向性に対応できる選択肢を提示することが、採用競争力を維持・強化し、優秀な人材を確保するための鍵になるのではないでしょうか。
調査概要
・調査期間:2025年月4日24日(木)~2025年4月28日(月)
・調査対象者:ITエンジニア(正社員159名、フリーランス23名、その他20名/20代~50代)
・調査人数:202人
・調査手法:インターネット調査
・調査元:GMOリサーチ&AI
調査データの引用・転載に関して
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