はじめに
エンジニア採用の競争が激化する昨今、ダイレクトリクルーティングは、企業の採用戦略においてますます重要な役割を担っています。しかし、日々多くのスカウトメッセージを受け取るエンジニアにとって、開封や応募を促す内容とはどのようなものでしょうか?
本レポートでは、ITエンジニア153名を対象に「転職時のスカウトメッセージ」に関する意識調査として、エンジニアがスカウトメッセージをいつ、どのように確認し、何が開封判断に影響するのかなどについて調査しています。
Q.最もスカウトメッセージを開くのはどの曜日ですか?
エンジニアがスカウトメッセージを開封する曜日は、「月曜日」が27.5%と最も多く、週の始まりに新たな気持ちで情報をチェックする傾向が伺えます。 次いで「土曜日」(24.2%)、「日曜日」(21.6%)と週末の開封率も高く、週末にじっくりと情報収集する時間を設けていることが推測されます。 週明けと週末、双方のタイミングを意識したアプローチが効果的なのではないでしょうか。

Q.最もスカウトメッセージを開くのはどの時間帯ですか?
開封時間のピークは「18時~23時」で46.0%と圧倒的多数を占めており、多くのエンジニアが業務終了後のリラックスした時間帯にスカウトメッセージを確認しているとわかりました。 次いで「9時~12時」が33.0%と、始業前の時間帯も比較的高い数値を示しています。 スカウトメッセージの送信タイミングをこれらのピークタイムに合わせることで、開封率向上に繋がる可能性があるのではないでしょうか。

Q.スカウトメッセージの件名について、思わず開きたくなる(開いた経験がある)文言はありますか?(複数選択可)
エンジニアの開封意欲に最も影響する件名は「年収アップ・報酬に関するもの」(29.4%)であり、待遇面への関心が高いとわかりました。「特別」や「面接確約・面談確約」といった、選考における優位性や特別感を示す言葉も有効です。しかし、約4割が「どれも開く動機にはならない」と回答している点にも注目で、これらの文言はテンプレと見なされているのかもしれません。

Q.読む気が失せてしまうスカウトメッセージはどんな内容ですか?(複数選択可)
エンジニアが最もスカウトメッセージに幻滅するのは「自分のスキル・経歴に合っていない」(42.5%)内容であり、ターゲティングの重要性が浮き彫りになりました。 次いで「給与や条件が一切記載されていない」(38.6%)、「テンプレ感が強い」(36.6%)が続き、透明性の高い情報提供と個別にカスタマイズされたアプローチが求められていることが分かります。 工数をかけてでも候補者一人ひとりの経歴を丁寧に読み込み、適切なメッセージを送ることが、エンゲージメントの第一になるのではないでしょうか。

Q.名前を知らない企業からのスカウトメッセージは読みますか?
どちらの回答も約半数ずつという結果になりました。これは採用担当者にとって朗報であり、企業の知名度だけに頼らずとも、メッセージの内容や質、アプローチの仕方次第で、十分に候補者の興味を引ける可能性があることを示しています。的確なターゲティングと魅力的な訴求で、候補者との出会いを増やしていけるのではないでしょうか。

Q.スカウトメッセージの長さについて、どれくらいの文量を超えると読むことをやめたくなりますか?
スカウトメッセージの許容される長さは、「スマホで1スクロール(約400~500文字程度)」を超えると、約3割のエンジニアが読むのをやめたくなると回答しています。 しかし、「特に気にしない(長くても内容が良ければ読む)」という層も約3割存在することから、一概に短ければ良いというわけでもなさそうです。 冒頭でいかに候補者の関心を引きつけ、簡潔かつ必要な情報を分かりやすく伝えられるかが、メッセージの長短以上に重要と言えるでしょう。

Q.スカウトメッセージは、どの端末で見ることが多いですか?
スカウトメッセージの閲覧端末は、「PC」(47.1%)と「スマートフォン」(44.4%)がほぼ同数と、どちらのデバイスからも快適に閲覧できる環境が求められます。 iPadなどのタブレットを含めるとモバイル端末での閲覧が過半数を超えるため、特にスマートフォンでのレスポンシブデザインは必須と言えます。 メッセージの件名、本文の改行、文字サイズなど、マルチデバイス対応を意識したメッセージ作成を心がけるといいでしょう。

Q.スカウトメッセージに載っているコンテンツ(外部リンク)について、どのような内容だと有益に感じますか?(見てみようと思いますか?)(複数選択可)
スカウトメッセージ内の外部リンクで最も有益だと感じられるのは「事業内容」(45.1%)、次いで「採用ページ」(37.3%)でした。 候補者はまず、その企業が何をしているのか、どのようなポジションを募集しているのか、という基本的な情報を求めていることが分かります。また、「技術ブログ」(22.2%)や「社員インタビュー」(21.6%)も一定の関心を集めており、企業の技術力や働く人のリアルな声を通じて、企業を理解したいというニーズがあるのではないでしょうか。

Q.どのポジションの方からのスカウトメッセージだと、特に興味を持ってメッセージを開きたくなりますか?
意外にも「ポジションは関係ない」(37.3%)という回答が最多でしたが、注目すべきは「エンジニア(メンバー)」(29.4%)です。 これは、同じ現場で働くエンジニアからの直接的なメッセージには、よりリアルで共感できる情報が含まれているという期待感の表れと言えます。工数の問題もありますが、採用担当者だけでなく現場エンジニアをスカウト活動に積極的に巻き込むことで、候補者の関心を高めることができるかもしれません。

Q.カジュアル面談で、どのポジションの方とお話しできると、特に魅力的だと感じますか?
カジュアル面談で最も話したい相手は「エンジニア(メンバー)」で、36.6%とトップでした。 次いで「ポジションは関係ない」(30.7%)、「PM、PdM、EM、テックリード」(13.1%)と続きます。 スカウトメッセージの差出人と同様に、実際に働くことになる可能性のある現場エンジニアから、具体的な業務内容やチームの雰囲気など、リアルな情報を直接聞きたいという候補者の強いニーズが伺えます。面談設定には、候補者の希望を考慮し、適切な社員をアサインすることが重要と言えるでしょう。

まとめ
本調査を通じて、ITエンジニアが転職活動においてスカウトメッセージをどのように捉え、またどのような情報やアプローチに心を動かされるのかが見えてきました。エンジニアは、自身のスキルや経験への合致、給与や条件の明記など個別にカスタマイズされたスカウトメッセージを求めています。開封のタイミングは週の初めや週末、時間帯では業務終了後や始業前が多く、企業の知名度以上にメッセージの内容そのものが重視される傾向にあります。また、現場のエンジニアからのコンタクトや、カジュアル面談でのコミュニケーションには特に関心が高いとわかりました。
本レポートでご紹介したエンジニアの「本音」を参考に、ぜひ今後の採用活動にお役立てください。そして、一人でも多くの優秀なエンジニアとの出会いが生まれることを願っております。
調査概要
・調査期間:2025年月4日14日(月)~2025年4月18日(金)
・調査対象者:ITエンジニア(正社員132名、フリーランス13名、その他8名/20代~50代)
・調査人数:153名
・調査手法:インターネット調査
・調査元:GMOリサーチ&AI
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